靴の学校921 開校記念セミナーを開催しました!!

このたび、靴学校921を開校致しました。
2018年4月より開始の本科の前に、靴関係者のためのセミナーからスタートいたしました。

前半2/3を医学博士で鍼灸師の町田雅秀先生にご登壇戴き、後半は靴学校921主催の、村山が登壇させていただきました。

kaikousemina

前半は下肢全体のつながりを知っていただくために、骨盤、股関節、膝、足首、足という下肢全体が一つのユニットとして働くことを話していただきました。
普段から臨床で患者さんの全身を診ているからできるお話も多数です。
上肢と下肢の構造的な違いや、上下の関節の相互影響の話しは構造を応用して考える上で大切ですから、何度も聞いて確実に自分の知識にしたい内容です。
活発な質問に講師も力が入り、前半終わって予定を30分オーバーしてしまいました。

後半は村山が、骨盤内の筋肉が固いと靴を履いたとき踵が抜けやすくなるという内容でお話ししました。下肢ユニットの、一番上と一番下という、普通には結びつかない場所に深い関連があって、このことに気が付かないでいると、何度もフィッティングする羽目になります。
参加された皆さんは、普段から靴の踵のフィットという難しい課題に取り組んでいるからこそ、まさか原因がそんな上の方にあったなんてと驚いていました。足だけ見ていてはたどり着けない答えの典型ですね。しかも、その対処法までお話ししたから、参加の皆さんの目の色も変わります。

結果的には45分以上予定時間を越えてしまいました。
骨盤から下肢全体は、本科のカリキュラムでは1年かけてじっくり学ぶ内容だけに、時間が足りなかったともいえます。欲張りすぎたとちょっと反省。

それでも尽きない熱は、セミナー後の懇親会まで続きます。
皆さん講義の延長で話しは大盛り上がり。
お酒も入って緊張がほぐれると、これまでに独学で勉強していたけれど、本やネットだけでは理解が進まなかったところの質問大会でした。
日々の疑問にも町田先生の丁寧な説明が返ってきて、皆さんに喜んでいただけたようで良かったです。

そんなに盛り上がったのに写真を撮り忘れてしまいました。残念。

 

最後に、初回のセミナーに参加してくださった皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。

革漉き包丁  道具や機械1

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刃物というのはもの作りには欠かせない道具です。

靴作りにも包丁を使います。その包丁は、革製品の作成に使われますので、靴専門の靴包丁ではなく、革漉き包丁と呼ばれます。

革を切るのではなく、斜めに削ぐようにしたり、厚みを薄くすることを、漉くと言います。

 

ちょっと変わった形をしています。

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最初の画像のように、使う人の好みや、使う場所によって、いろいろな刃の幅があります。

ここにあるのは30ミリ幅と36ミリ幅ですが、20ミリ幅、25ミリ幅、40ミリ幅などいろいろあります。

 

この革漉き包丁は、「ヘラ」として、革用の包丁という使い方以外にも、いろいろなところで使われています。

これは、お蕎麦屋さんで、天ぷら鍋の掃除用として長年使われている革漉き包丁の写真です。

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また、カッターナイフメーカーのOLFAから出ている刃先交換式の革漉き包丁もあります。

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この形の革漉き包丁は、OLFAの物かは分かりませんが、海外でも販売されているようで、私がいたドイツの工房でも、「ヘラ」としてですが、使われていました。

製作作業にはいろいろと不向きですが、ルッチェでも、掃除用にはこれを使っています。

この革漉きは、刃先交換式ですが、当然研げますので、切れなくなったら研いで使うことも出来ます。

 

木型を削ることを、学びの初期から行う理由

木型を削ること木型は靴作りにおいてとても大切な工程です。
メーカーであれ、個人であれ、靴を作る人にとって、オリジナルの木型作りには心血を注いでいるものです。
そうした工程ですから、靴学校ではたいてい、靴への理解がある程度進んでから行われています。しかし、921では、学びの初期から積極的に、木型の加工に取り組みます。

木型は靴の出来上がりをほぼ決定するといえます。

決定する要素は、雰囲気(又は佇まいと言ってもいいでしょう)、機能、履き心地などです。
では、921で、靴についてほとんど知識も経験も無いうちから、木型の何に取り組むかというと、履き心地の部分です。
どの部分を削ると、履き心地がどうなり、どの部分を膨らますと履き心地がどう変わるのか、ということを、繰り返し体験することで経験を蓄積します。

なぜ履き心地についてなのかと言うと、雰囲気と機能は、作ろうとする靴の完成イメージを持っていなくては取り組むことが出来ないからです。そのため、靴の学びの初期では取り組むことが困難です。しかし、履き心地は、これまで靴を履いてきた経験がありますし、痛い、ゆるい、快適など、履けば感想がわかるものです。

本来は、雰囲気、機能、履き心地の全てを同時に作り上げることが木型作りなのですが、いきなり全てを同時に取り組むのは難易度が高すぎます。これは、ある程度靴について学んだ後であっても同じことです。たいていの場合、靴学校の授業で1年間に学生が作ることの出来る木型は、1型か2型です。そのため、どうしても、失敗しないように慎重になってしまいがちです。すると、終わった後に残っているのは、木型という作品です。
本来手に入れるべきことは、うまくいかない状況に面した際、何が問題なのか、どういう解決方法があるのか、考えるための下地であり、それは経験と、そのときに使った生きた知識です。

もちろん、履き心地のための「削り」や「足す」といった作業も、見た目に影響を与えます。といことは、先ずは履き心地のための寸法変更をいろいろと行いながら、その結果靴の見た目にどう影響を与えるかということも経験的に学ぶことが出来ます。

最終的には、雰囲気、機能、履き心地を同時に考えながら作業できるようにならなくてはいけません。足の寸法に対して木型の寸法はどうするべきか、靴を作るために守らなければならないことは何かなど、製作と失敗と検証を繰り返しながら、自分自身の視野を広げ、木型という小さな製作物の曲線のつながりの中に、様々な意味をこめることが出来るように、積極的に知識と経験を増やしていきます。